3-2.主な色彩調和論
【色彩調和論】
色同士の違いと共通性が適度に含まれているもの
ギリシャ時代から論じられている
調和があると感じられる色の関係に一定の法則を見出そうとするもの
音楽による和音の調和感との類似性を色をあてはめようとしたもの
<ジャッド>がさまざまな色彩調和論に共通する原理・原則について論文を発表した
-例--------------
<シュヴルール>の調和論
<オストワルト>の調和論
<ムーン-スペンサー>の調和論
<ジャッド>の調和論
----------------
【シュヴルールの調和論】
フランスでゴブラン織りの研究をした人
色彩調和論が発展する大きな契機を与えた
『色彩調和と同時対比の法則』で
「類似の調和」と「対象の調和」に分類
-例--------------
↓類似調和↓
1.pl-R3とvv-R3
2.pl-G3とlt-G5
3.pl-P4とmg-P4とvp-P4
↓対照調和↓
1.pl-B4とdk-B4
2.pl-O3とdk-O1
3.pl-G1とdk-P4
----------------
■類似調和:
1.同一色相で、トーンの違いをつけた配色
2.類似色相で、類似のトーンによる配色
3.色のついたガラス越しに眺める
→全体が1つのトーンに支配された配色
■対照調和:
1.同一色相で、対照的なトーン
2.隣接or類似色相で、対照的なトーン
3.補色色相で対照的なトーン
《メモ》
対照トーンを使った場合→常に対照調和
【オストワルトの調和論】
ドイツの化学者
色立体を完成させ『オストワルトシステム』を創案
「調和は秩序に等しい」
「すべての色は、白色量(W)、黒色量(B)、純色量(C)からなる」
W+B+C=100%
-オストワルトシステム表字例----
[色相番号][白色量][黒色量]
赤→8pa
無彩色→p
------------------
【オストワルトの色相環】
24色相
<ヘリング>の反対色説に基づいた心理四原色を基礎としている
-例--------------
反対色説:赤と緑、黄と青
----------------
■等価値系列:
色立体上で中心軸に対して同じ円周上にある色同士
白色量、黒色量、純色量が等しい
色相だけが異なる
【等色相三角形における調和】
完全白→光を100%完全に反射
完全黒→光を100%完全に吸収
完全色(理想的な純色)→特定のスペクトルの領域のみを完全に反射
■無彩色の調和:無彩色の組み合わせ
■等純系列:等しい純度をもつ色の調和
■等白系列:等しい白色量をもつ色の調和
■等黒系列:等しい黒色量をもつ色の調和
【ムーン-スペンサーの調和論】
色彩調和を定量的(数値的な関係)に置き換えて論じた
調和領域と不調和領域に分類した
「美度」→色の三属性だけでなく、面積や配色の美しさの度合いを数値で表す考え方
↓調和領域↓
■同一色相
■類似色相
■対比色相
↓不調和領域↓
■第一曖昧領域
■第二曖昧領域
■眩輝(げんき)→明度差10より上
【ジャッドの調和論】
多くの色彩調和論に共通する原理・原則について4つを指摘
1.秩序の原理
2.親近性の原理
3.共通性の原理
4.明白性の原理
商業上の色の現場の立場を言い当てている
現在でも通用する
【秩序の原理】
「等間隔性で秩序あるor幾何学的関係によって選ばれた配色は調和する」
-例--------------
トライアド(色相環から三等分位置にある色を使用)
→vv-P2とvv-O1とvv-G3
----------------
マンセルシステムのように知覚的等歩度性をもつカラーオーダシステムの有用性を説いた
色相環で幾何学的位置関係にある色の調和を説明
【親近性の原理】
「見慣れた色の組み合わせはなじみやすい」
「自然界にみられる色の変化や有機的連鎖における配色は調和する」
-例--------------
植物にあたる光の明暗
紅葉
※上記を「親和性」とした
----------------
ルードが指摘した色相の自然連鎖のように見慣れている色の調和を説明
明るい色が黄みの方向の色相に傾くように配色
【共通性の原理】
「配色間にある種の共通性や類似性をもっていれば調和する」
-例--------------
lt-G1とvp-G1とdp-G1
----------------
互いに同質性のもつ色の調和を説明
色相支配(ドミナントカラー)、トーン支配(ドミナントトーン)はよく用いられる
【ドミナントカラー】
色相に共通性をもたせた配色
【明白性の原理】
「色が曖昧でなく、安定して見える配色は調和する」
-例--------------
Bk(10)とvv-R3とBk(10)
----------------
はっきりとした違いがある
明度差が重要